スクランブル交差点

 

 

朝、通勤ラッシュ。

上りの急行列車が大きな駅に到着し、大量の人が電車から降りていく。ざっと見回す限り、250人ほどいるであろうか。これが都心であれば、電車が着いた瞬間に1000以上もの人が数秒間のうちにホームになだれ込むのだ。

なんとも言えない光景が広がるんだが、私はいつも思うのだ。

 

 

よくぶつからないよなぁ。

 

 

そりゃあ、肩と肩が当たるくらいはあるさ。

 

 

でも、顔と顔がぶつかったり、思いっきり正面衝突なんてのはほとんどない。

 

 

 

 

渋谷のスクランブル交差点。

 

あんだけたくさんの人がいろんな方向に歩いてて、よくもまぁぶつからないもんだ。

 

様々な方向から来る人が何百もの箇所で交差するのはもはや芸術性を感じる。

 

 

目の前の人を上手くかわしたらすぐに次の人が現れる。

 

人の脳は、目の前の人を避けるだけではなく視界全体の情報を処理してその周りの人がどのように行動するかを予測する。そして、目の前の人を避けた後もほとんどがその予測通りに人が動くため、ぶつからずに人と人との間を止まることなく進んでいく。

 

それを、スクランブル交差点にいる何百人もが同時に行っている。

 

 

人の脳の情報処理能力はえげつないなぁといつも思うのだ。

 

 

 

 

もしコンピューター上で点を人と見立ててランダムに動くようにシュミレーションしたら、1つも点同士がぶつからないなんて事は起こりうるのだろうか。

 

学習能力のある点をぶつかったら消えるようにして出来るだけ長く動き続けるように命令したら、人のように動けるようになるにはどれだけかかるのだろうか。

 

 

 

 

 

普段何気なく生きていても、少し考えてみるだけで生命科学というのはとてつもなく面白いものになる。

 

 

私はそんな魅力に取り憑かれているのだ。