アイスクリームシンドローム
ーーーーーーーー
関係は至ってフラットだ
何でも話せるくらいかな
付き合いは長いが何も変わらないよな
せっかく用意したムードも
茶化されて終わってしまうんだよ
打ち上げられないまま 格好もつかないまま
ーーーーーーーー
スキマスイッチの個人的な三大切ないラブソングのうちの1つ、アイスクリームシンドローム。
(ちなみに、あと2つは大分前にあげた「藍」と、「アカツキの詩」)
出だしからとても切なさが伝わってくる。
あなたと知り合ってからだいぶ月日が経ち、2人の壁はほとんど無くなっている。
あなたが私をどう思っているかは分からないけど、私はあなたに思いを伝えたくてもずっと伝えられないままいる。
ーーーーーーーー
太陽は暑く照ってる Tシャツが汗ばんでる
ジメッとした僕みたい いつまでも乾かないや
逃げ込んで入ったコンビニ
懐かしいコミックを購入
君がいればどうかな 一緒に笑えるかな
ーーーーーーーー
夏のある日、暑さに耐えきれずコンビニに逃げ込む。
そしてちょっとしたマンガを買っただけでも君の顔が浮かぶほど僕は君の事が好きだということが伝わってくる。
ーーーーーーーー
もう何年演じてんだろう
親友としてのキャスティング
距離感はいいんだが でも本音を言えば辛いや
相談しやすいって言うけど
いつも君の恋愛トーク
微妙な心の中バレないようにしている
ーーーーーーーー
ここが1番切なさを感じますよね。
君との仲はとてもよくて親友と呼べるほどなんだけど、だからこそそのキャスティングが辛い。
君の恋愛相談に乗ってはいるけども、僕の心の中では振り向いてくれないという複雑な心境が入り交じっている。
…切ない……。
ーーーーーーーー
この目の奥に写ってる笑顔を
僕だけのものにしたいんだ
どうにか焼き付けられないかな
そっとファインダー覗いたら
想像よりずっとずっと遠くに君がいた気がした
いつかは誰かと消えていってしまう
見上げれば青い空真っ二つに割ってくジェット機
遥か空へ夏が飛んでく 季節がもう過ぎて行く
ーーーーーーーー
今、目の前で笑う君の笑顔をどうにかしてこの目に焼き付けておきたい。
その笑顔を留めるためにファインダーを覗くと、自分が思っていた以上にその笑顔は遠くにあった。そして、この距離がどんどん開いていって、いつかは他の誰かと一緒にどこかに行ってしまうのかもしれない。
そう思って空を見上げると、飛行機雲が2人の世界を2つに割るように伸びている。そんな景色を見ながら、夏が過ぎていくのを実感している…。
淡い恋心を口語的に歌っていて、見える情景はとても明るいんだけどその深部は複雑な心境か絡み合っている。
ーーーーーーーー
陽炎の中で立ってる 不器用なだけの僕ら
ボヤけてる世界でも君だけは歪まないや
友情って名前のシンドローム
出口のない永久迷路
動くのも怖いから踏み出せないでいる
食べようとしてたはずのアイスクリーム
ベタベタに溶けていたんだ
運命って待ってくれないんだなぁ
今会いたい すぐにでも
いつになくマジメな声で誘い出してみようかな
そのまま連れ去ってしまえたならもう
勢いで抱え込んだ想いも伝えられるかも
ーーーーーーーー
2番の歌詞は、伝えたいという気持ちとこのまま仲のいい関係でいたいという思いとが交錯している。
真夏の太陽に照らされたアスファルトから浮き上がる陽炎と、その中でも揺らぐことのない君の姿。
友情って言葉で片付けてしまえばそれで終わりなんだけども、そうなるとその関係からは抜け出せない永久迷路へと入ってしまう。
でも、一歩踏み出すには勇気が足りなくて、結局は友情で片付けておこうと思ってしまうシンドロームの中にいるまま。
なかなか一歩を踏み出せずにいたら、食べようとしていたはずのアイスクリームはベタベタに溶けてしまっていた。溶けないでいてほしい気持ちとは裏腹に、運命というのは前に進んでいく。
そんな運命の焦燥に駆られると、今すぐ会ってこの気持ちを伝えたくなる。いっそのこと連れ去ってしまえばこの気持ちも楽に伝えられるのかもしれない。
でも、きっと誘い出す勇気すらもでないまま時は過ぎていくんだろう。きっともう既に永久迷路のなかにいるのかもしれない。
ーーーーーーーー
あぁ、そうファインダー覗いたら
手が届きそうなほど側に君が見えたらいいな
幸せは増えたって減るもんじゃない
君とならどんな一瞬だって煌めいて見える
ーーーーーーーー
もしもう一度ファインダーを覗いたら、もしかしたら手が届きそうなほど君が側にいるかもしれない。そう願っても、君が遠くに見えることを恐れてファインダーを覗くことすら出来ないでいる。
君にこの思いを伝えたとしても、きっと幸せは増えたって減りはしないだろう。
でも、今のままでも君といれば幸せで、些細な一瞬ですら煌めいて見える。これだけでも、十分すぎるくらいに幸せなんだ。
そういう思いが交差して一口目を食べれずに時間だけが過ぎていくアイスクリームシンドロームからずっと抜け出せないまま。
切ない恋の歌ですよね…。
一体どれだけの人がこのような切ない思いを抱いているだろうか。
人が10人いれば10通りの思いがあって、それは外側から覗くことは出来ない。
先に進むかその場に留まるか、どちらが正解なのかは決断をしなければ知ることが出来ない。
でも、その決断に追い討ちをかけるように時間というものは無慈悲に進んでいく。
止まるところを知らない運命の歯車は、ちょっとしたことで加速したり減速したり。
加速させるか減速させるかは人それぞれだが、少なくとも後悔だけはしないように生きていけたらいい。