夏の終わり~打ち上げ花火~

 

 

優しく流れる冷たい風が頬を撫で、夏の終わりを実感する。

ふと隣を見ると、少し斜め上を向いた君の横顔が見える。

 

その姿をずっとこの目におさめておきたいけど、そうやってカメラを構えると君はすぐに別の方を向いてしまう。

なんだがその一瞬がもどかしくて思わず笑ってしまう。

 

「何で笑ってるの?」

 

浴衣姿の君が振り返りこっちを向いて、ものおかしげに尋ねてくる。その一瞬の言葉、その一瞬の表情を見るだけで私の心は舞い上がってしまう。

 

「別にぃ~」

 

私にはそうやって笑って誤魔化すことしか出来ない。

 

「ふぅん」

 

そう言って君はまた斜め上に顔を向ける。やっぱりこの表情がとてつもなく好きなんだ。

 

「ほら、また始まったよ!」

 

君の声に誘われて私も斜め上を見る。これまで以上に大きな花火が1発ドンッと弾けて、私たちの頭上に降り注いだ。

 

ふと横を見ると、君が私を見て笑っていた。

 

「何で笑ってるの?」

 

私がそう聞くと、君は「別に~」と笑って再び斜め上を向いた。

 

 

やはり私は君が好きだ。

 

 

 

もうすぐ夏が終わる。

 

 

 

 

この想いはいつ伝えれるのだろうか。