夏の終わり~サイレン~
沸き上がる大歓声と共に、向かいのベンチから溢れんばかりの笑顔が見えてくる。
周りを見ると、呆然と立っている者、泣いているもの、その背中をポンポンと叩いている者。
自分は一体どれなのだろうか。
重い足を動かしながら、相手チームの待つホームベースへと走っていく。
誰かの声に合わせて礼をすると、どこからかサイレンが聞こえてきた。
そのサイレンが鳴る方を向くと、大きく0-1xの文字。
その数字が自分に夏の終わりを実感させる。
ずっと一緒だった仲間と抱いていた夢は儚くも1つの白球が奪い去っていった。その白球は誰に拾われることもなく、レフトスタンドに転がっている。
ふっと吹いた風が、いつの間にか流れていた涙を冷たく伝っていった。